やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

石の花

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 小さい頃読んだ、ロシアの童話に「石の花」というお話がありました。

 美しい石の採れる山の村、其処に住む石細工師の少年は 石の女王の宮殿に、見た人は魂を奪われずにはいられない美しい石の花があると聞いて探しに出かけます。一人残された恋人の少女は、自分も石細工を始めて、石の板をつくったりして暮らしていますが、やがて勇敢にも少年を捜す旅にでるのでした。
 どんなお終いだったのか全く憶えていないのですが、子供だったわたしは「石の花」のイメージに魅了されました。石という鋭く硬いものが、はかなさの象徴のような花の形をしている。なんて美しいのだろう、手に取ったら手も一緒にくだけてしまうのではないかと思いました。

 少女の作った「石の板」の実用的な感じも「いいな?!」と思いましたけどね。

そのお話の記憶がどこかに残っているのかもしれません。石の花がつくってみたいのです。
冷たい磁器の蓮の花。実際の蓮にはない藍色と白。壊れそうだけれど永遠の花。

 確か物語の中では、その美しい石は死に至る毒をもっているのでした。それがまた美しさを際立たせて感じられました。
「美しきもの見し人は はや死のてにぞわたされつ」という詩の一節が思われました。
美しいものの中には毒があるものなのか。

染付の蓮の花向付には毒はありません。食器です。