やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

12月の俳画

窓の外の辛夷の木に巻き付いているさねかずら。十二月だというのに葉っぱがまだ紅葉の状態です。真っ赤な実も成っています。本当に暖かいのね。

さねかずら は美男蔓とも言って、平安時代はこれを髪のトリートメントにしたそうですね。ためしてみましたが、とろりとした樹液が、髪の毛さらさらにしてくれます。

句は

 

  冬紅葉ありのすさびのあれやこれ  おるか

 

「ありのすさび」は源氏物語桐壷の巻に引用されている歌

 

あるときは有りのすさびににくかりきなくてぞ人は恋しかりける

 

から。なんとも味わい深い表現ですね。「すさび」はあまりよいことにつかわれませんが、たとえば「手すさび」等というときは、何となく手持無沙汰で、しなくてもよいことをしてしまう、みたいな感じでしょうか。

この世に有るということに慣れてしまって、つい憎たらしいなどと思ってしまったけれど、いなくなってしまったとなるとひどく恋しい。…わかる。

猫さんたちもありのすさびに喧嘩もするけど、一匹になってしまったら、寂しいのよね。