やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

今月の俳画

イメージ 1

ギャラリー実生へ持ってゆく俳画

秋海棠です。

句は

  水澄むや水底ながめをるままに  おるか


秋の空気も澄んできますが、水もまた澄んできます。「水澄」いい季語ですね。

水底をじっと見つめながら、「ああ、水が澄んできたな、秋だな」などと思う。

自分で解説するのは興ざめなものですが、水底をじっと眺めているような者は、楽しくて予定がいっぱいあるような人ではありませんね。なんとなし、物悲しいような多少鬱屈があればこそ、そんなことをしているわけで。

そういえば、折口信夫にこんなうたがあります。

  水底にうつそみの面わ沈透き見ゆこむ世もわれの寂しくあらむ

水底に映る顔を眺めて次の世(死後の世界か、生まれ変わってからかわかりませんが)でも、自分は寂しい人間なのだろう。と、思う。

なんて寂しい歌なの!

きっと春洋君に出会う前の歌でしょうね。だって、弟子でもあり息子でもある最愛の人と出会えたのですから。

戦争で残酷に失ってしまったとはいえ。勿論つらいだろうけど。