やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

名残の裏へ、そして満尾

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山中温泉芭蕉の館での歌仙もいよいよおわりがみえてきました。

この三月、北陸は新幹線の金澤発着でうかれさわぎました。そんな2015年の三月ならではと、いうことで
名残の表9句目は


 うきうきと新幹線の話など  中江

フレアスカート風におどるよ  紺谷

10句目、軽やかな付けでした・。次は月の定座


 鉄塔にひっかかりたるたる冬の月  橋本

   日差しにゆるむ雪吊りの縄   中江

名残の表の最後は、いかにも北陸の冬の終りの景色ですね。
さていよいよ名残の裏にはいります。

  迷い来し袋小路もまた楽し    佐藤

城下町らしい町並みが目に浮かびます。

   ピアノソナタの窓より聞こゆ  上出

次は春の句

  山笑うひらがな多き孫の文   中江

たしかに「孫」で一句の成功するのは難しいものですが、山笑う時節のいまだ整わないながら生命力の輝く緑の景色と、文字の大きさなどがばらばらながら元気の良い、いとけない手紙の取り合わせでいただきました。

 水の濁りを嫌う若鮎    佐藤

前句の若い生命力のほとばしりを受けて。やや成長したすがたです。時に残にすらなる若さの仮借ない一面を捉えて、実に鋭い付けだとおもいました。

いよいよ名残の裏の花の定座となりました。ここはこの会の最高齢(おそらく)参加者の方に花を持っていただきましょう。

 病院の脇老木の白さくら  新津保

名残の裏に「老・病」と重なるのもなんですが、こんな字が怖くて高齢化社会がやっていけるかい!という気合で戴きました。
加賀の地、小潮辻に、純白の桜があるのだそうです。来年は見に行こうと思います。

ついについにこの芭蕉の館歌仙も満尾です。
挙句は毎回ご出席してくださった方の句をいただきました。

   木漏れ日おどる芭蕉の小徑  松浦

山中温泉鶴仙渓という名勝の傍らに芭蕉堂からの小路がつづいています。
その道を芭蕉の道と言うかどうかは知りませんが、それも踏まえて、芭蕉の世界に続く歌仙という小路をたどってきた。楽しかった、という思いが伝わる、良い挨拶になっているとおもいます。


丁度一年で、芭蕉の「山中両三吟「翁治しの巻」を読み、歌仙をまいて、ここにめでたく満尾することができました。
楽しかったです。連中の皆様そして、芭蕉の館の係りの皆様、ありがとうございました。