冷たい雨が降る中11月の連句の会はいよいよ初裏の終りへ、「花の定座」へとむかいます。
芭蕉の館のお庭の紅葉は散りゆくまぎわのあやうい美しさでした。
先月は初裏の6句目の冬の短句から無季の無常感あふれる一句の後、
月の句まででした。作者名が間違っていましたのでもう一度書いておきましょう。
満つる月影雲間にかくれ 新津保
月が出たので季節は秋。初裏9句めは
庭下駄の鼻緒のしめり虫しぐれ 紺屋
をいただきました。やや常套的かもしれませんが、鼻緒の湿りに一抹の哀感あり。
次10句は
松茸狩に出掛けてみれば 西
うまい!前句の状況を的確に見定めてさらりとつなげています。言葉の運びが実にたくみです。
つぎ11句目は「花の定座」です。花は一巻の歌仙に二度しかないので、激戦でした。
花吹雪団十郎になりきって 上出
の句をいただきました。演劇とか伝統芸能などに触れた句もほしいところ。
花の下でお酒も入って一見にぎやかに見得を切っているのでしょう。この世の「面白う手やがて悲しき」光景。
さて次の12句めで初裏も終りです。着々と進んでいます。つぎは春の短句をつづけましょう。