やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

九月の連句

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秋めいてまいりました。連句の会も回を重ねるたびに連中の皆様の実力に感じ入るしだいです。
今回は、会場が秋のイベントで忙しく、今日、19日金曜日となりました。

 さて、青葉闇の巻」もいよいよ初裏の第三句目。
先月は

 黄昏の欅並木に鵯群れて  笠原

   マナーモードに間髪入れず  上出

と、すすんでまいりました。短句はいかにも今の若者の恋の始まりという感じですね。そう思ってみると、前句の「欅並木」はキャンパスの光景のように見えてきます。良いながれですね。
さて、次は初々しく始まった恋の行方か、または別の視点の恋か。ともあれ、五七五の長句で無季の恋の句をお願いしました。
たくさんの句が集まりました。

 約束の時間せまれど渋滞に

  昔は七夕様みたいに恋の逢瀬を邪魔するのは川の流れでしたが、現代は車の流れが二人を引き裂くのですね。

 紫が好きと云われて花屋でも

 彼女が好きだと言った紫色。花を見てもまず紫色に目が行く。紫の花束をプレゼントするのでしょうか。可憐ですね。そのほかにも面白いくがありましたが、これまで、やや山の景色が多かった気がするので、思い切り変化して

三句 瀬戸内の思い出の島巡りつつ  新津保

を、いただきました。恋はすでに過ぎ去り、年月を経た後のセンチメンタル・ジャーニー

四句   汀に寄せし貝殻ひろう  上出

過ぎ去った恋のせめてもの思い出に、汀に小さな貝殻をひろう。いじらしい…。
さて、次は冬の長句を、とお願いしたところ、すごいことになりました。
「や」「かな」は一応避けてとお願いしましたが、さすがに俳句を作ることには慣れていらっしゃる連中の皆様です。佳吟の山です。たとえば

 もてなしは宿の主の雪莚   風流な宿ですね!っじつに上手い。
 庭掃きし明け方淡く雪積もる   箒目の上の淡雪、美しい。
 初雪や今朝は明るき腰障子  季節柄張り替えて真っ白な障子に映る雪の明るさ
 
等々、どれを選んでも面白い展開がのぞめそうでしたが、いままでの句句のながれにないもの、という一点で選んで

五句  初あられ踏みし仕草も幼めき   紺屋

と、いたしました。次は無季の雑の短句をおねがいします。

写真は『連句」というといつも参考にしている安東次男の本です。
安東次男、けっこうお世話になってます。