やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

祥瑞の器

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 テーブルの上に冬の日が長い影を置いています。
磁器の器の反射が丸く映り込んでおもしろい。あっさりした染付に比べると模様をたくさん着込んだ祥瑞はあまり寒くは感じられない。

 祥瑞とは明末~清初に中国の陶郷景徳鎮で焼かれた焼き物です。日本の茶人の注文で作られたといわれるとおり、抹茶茶碗や水差に名品が多く伝世しています。
ほぼ同時代の古染付の洒脱さに比べると、染付の発色の鮮やかさといい作ゆきといい力強い手ごたえを感じます。
 精緻ですが、かなり豪快で、官窯の焼き物のような、ゆがみや乱れを排除するのに汲汲としているようなところはありません。

魅力的な焼き物ですから、祥瑞手は今でも作られています。私も文様に憑かれている人間の一人なので、描き始めるとひたすら空間恐怖症のごとく描きこんでいってしまう。「ちょっとマニエリスム入ります!」って感じ。

 はるかな明時代、江南の爛熟した文化の中に花開いた祥瑞五良太夫工房の青い名華。そのような剛毅さは失われ、のぞむべくもないとしても、 その当時、イエズス会士と一緒に来たシルク・ロードの画工が、ヨーロッパ、オリエントの文様を眺めた目で、芙蓉手に近いあたりで描いた祥瑞!という線を狙ってみました。(凝り過ぎだろ!)