寒晴れ。そしてあたたか。すごい空の青。
辛夷の花芽は、冬の間、銀色の毛皮のコートをしっかりまとっています。
春になってコートの裂けめから純白の花の裸身をのぞかせるときも、ある日はらりと脱ぎ捨てるときも、言うに言われずエロチック。
山並み遠に春は来て
辛夷の花は天上に
雲はかなたにかへれども
かへるべしらに超ゆる路
三好達治「花筐」
北陸でも、辛夷の花は桜に先駆けて山並みを彩ります。写真の家の庭の辛夷が終わるころには、白山山麓の辛夷が見ごろになります。森林公園の辛夷の巨樹の満開に今年は会えるでしょうか。
ちょっとお天気が良いから、つい浮かれて春を夢見てしまいました。
夢を見るとはいやしいぞ、とかたった詩人がいました。確かにそのとおりです。
冬木の芽こぞりて夢に音なき日 おるか