写真見にくくてすみません。
青磁の鶴頸花活けに枯れ菊。
菊は少し萎れてきたくらいが好き。野菊の淡い紫も、枯れるにつれてやや色を深くして、金茶色に枯れきった花びらと二色になるのも、きれい。句は
鳥渡る命毛ばかり残る筆 おるか 第一句集」「夏の庭」
筆は、用途によって、さまざまな毛を配置して作り出されます。書き味にこだわる方は、例えば、「中央には貉の頸の後ろの毛を」等等と注文なさるとか。筆は奥が深い。
中央の長く強い毛の部分を命毛といいます。周りにはもっと柔らかく含みの良い細い毛を配します。使ううちに柔らかい毛はすりへって、命毛だけが細く残る。普通はそこまで使い込みませんけど、私は、命毛だけの、か細い線がおもしろくて、そんな筆さえも使います。無残かな。
筆は、意外に早く減ります。おろしたての、穂先がありすぎて書きにくい状態が過ぎて使いやすくなる、そんな蜜月状態はすぐ終わります。紙に趣味で描くのでも数か月でしょうか。穂先はやがて平らになります。普通はそれで使い終わったことになるのでしょう。
陶磁器に絵付けする筆は、相手が固いものですから、毛も硬い特別な筆をつかいます。ですが硬いといっても素焼きに絵付けなどすればみるみる減ってゆきます。これまで何本の筆を使いつぶしたことか。そろそろ筆塚を建てて供養しないといけませんね。